災害時の水確保 雨水タンク

能登半島地震から2週間が経ちました。

報道はされていませんが自分の地域も一時孤立し
電気も水も全部だめになりました。

前回は「電気の確保」について書きましたが
今回は「水の確保」について書きます。

我が家の状態

我が家は標高700m以上のところにあり
水道は井戸水で賄っています。

ただ井戸水をくみ上げるポンプは
「電気」を使用しているため
停電時、水の確保が出来なくなります。

それを防ぐため
「発電機」を用意していました。

ただ
発電機は他の電化製品にも使用しており
井戸水をくみ上げる際、電源を切り替えて
使用する手間が発生し、
正直運用方法に難儀していました。

それを踏まえてというか
そうなるだろうなってことを考えて
雨水をためる仕組みを構築し
生活に必要な水を確保していました。

今回は
2023年5月に構築(3代目)し
2024年1月の被災後改善した
雨水をためる仕組みをまとめました。

ちなみに
初代は「そのままタンクに貯める」
2代目は「タンクに貯めてから濾過する」
仕組みでしたが
タンクの水が汚れる一方だったので
3代目を作成した次第です。

雨水をきれいにして利用したい。

さてさて
雨水を貯める自体は大して難しくありません。

ですが
「雨水をきれいにして利用したい」
となると話は別

雨水タンク以外の工夫が必要になります。

まだ第一段階ですが
「雨水タンクに貯める前に雨水を浄化する」
「簡易浄化システム」です。

仕組みはこう
雨水を濾過槽を通して
雨水タンクに貯める構想です。

水中ポンプを使って
循環させるシステム構築は
まだ未完成です。

濾過槽は20L
雨水タンクは200L

濾過するには十分な能力です。(ホントか?)

濾過槽の仕組み

単純にろ過するだけです。

金魚や熱帯魚を育てるわけではないので
単純に仕上げてます。

注意すべきは
・可搬性
・遮光材料の入れ物(藻対策)
・蚊が湧かないよう密閉式(ボウフラ対策)
・メンテナンスしやすい材料

に気を付けて作成しています。

濾過槽の材料

20Lの入れ物
遮光かつ開けやすいを重点
・JEJアステージ 収納ボックス 日本製 バックルコンテナ [NTボックス #25] 積み重ね 幅29.5×奥行44×高さ26cm

元々道具箱として利用していたものを拝借

綿
boxwater ベストマットろ過綿 ろ過ウールマット

綿は古い座布団の綿でもOKです。

砂(以前金魚を飼っていた際に使っていたもの)

浸透しやすいよう金魚の砂を使用しています。川砂でもOKです。

活性炭(本当はオガ炭)

木炭でもOKです。

これを図面の通り
入れていくだけです。

配管の材料は以下の通り
・カクダイ(KAKUDAI) 雨どいタンク接続用アタッチメント
カクダイ 屋外用 取付簡単 便利 エコ 雨水活用 雨水取出しホース 1m
・PVC ネジ付ソケット タンク 隔壁用 (20A) 32mm ×1
・タカギ(takagi) ホース ジョイント コネクター 普通ホース G079FJ ×2
・セフティー3 蛇口コネクター ネジ付き蛇口とコネクターの接続に メス1/2ネジ SSK-40 ×2
・チューブアダプターパイプ継uxcell 隔壁継手 G1 / 2オス シリコンガスケット付き手 水タンク用 ABSプラスチック 白 21mm ×2








使用した道具は
・ホールソー   (21mm)
・ホールソー   (33mm)


カッターで作業することも可能かもしれませんが
危険を伴うので安全に作業を進めてください。

構築

雨水を循環させるための配管処理をします。

雨水を入れる配管処理

・33mmの穴をあけます。
バリはヤスリで処理する。
でないとケガする。

33mmのホールソーで穴をあけます。

・PVCをはめ込みます。

実は3mmほど上に穴をあけたため、無理やりPVCを入れている。

・パッキンを挟みます。

パッキンする前にきれいに掃除してから取り付けてください。

・ねじ止めします。
水を溜めるわけではないのでネジのシール処理はしていません。

塩ビで配管する人はシール処理したほうがいいかもです。

濾過した雨水を排出する配管処理

・21mmの穴をあける。
なるだけ最下部に穴をあける。
バリ処理をする。

21mmのホールソーで穴をあけます。

・PVCをはめ込みます。

タケノコの雄側になります。

 

・パッキンを挟んでネジ止めします。

バリ処理をしないと水が漏れる可能性があります。

テスト

水の流入と排水テストを行います。
実際、雨水なので勢いよく水が溜まることはありませんが
漏れ・オーバーフローテストを兼ねて実施しています。

台風が来た時でも、こんな勢いで水が溜まることはありません。

排水側漏れは無し

雨が降った時はちょろちょろとしか排水されません。

オーバーフローテスト良し!
※実際の雨の時、こんなに水は溜まりません。

土砂降りでもこんなに水は溜まりませんでした。オーバーフローした水は縦樋へ流れる仕組みです。

ろ過材の設置

排水側から順番に入れていくだけ

・綿 3層目
※排水口にかかるように設置

綿 最下層 濾過した水を雨水タンクへ送水するための最後のろ過材

・活性炭
※これ以外に細かくなった炭を網に入れて隙間を埋めています。

雨水を浄化するかな?と思って入れてます。砂利でも代用可能です。

・綿 2層目

綿 第2層 砂が粉になって出るための処置

・砂
※掃除しやすいようネットに入れています。

砂を入れる網袋は農業資材を流用 農協に行けば売ってます。

・綿 1層目

綿 1番最初のろ過材

・金魚水槽から出てきたリング材
※実際役に立つのかは不明

リング材はオマケです。

雨水キャッチャー側へ繋ぐ配管

PVCがちょっと上すぎたので配管接合に手間取る。

雨水タンクへ送水する配管

タケノコは既存の道具で作成

これで濾過槽の完成です。

濾過槽の設置場所

作成当時はタンクの上に設置していたのですが
1月1日の地震発生の際、落ちてしまったため
現在は近くの倉庫屋根上に設置しています。

屋根の雪を除雪して濾過槽を仮設置

ちなみにこの日の気温は「-6.7度」
太陽が出ていても粉雪舞う中での作業になりました。

取り付け高さと切断する長さの確認中

それに伴い
雨水キャッチャーの位置も変更
ちなみに切断する縦樋の長さ14.5cm切断すればOK

14.5cm切ったところ
のこぎりは木を切るやつでも構いません。

縦樋の雨水は凍ってます。

雨水の排出位置を計算し
傾斜がついた状態で雨水キャッチャーを設置

アダプターを付けて
がたつきが無いか確認します。

雨水キャッチャーから出る水も瞬間で凍ります。

がたつきが無ければ
配管処理をして完成

素手で作業をしていたので、この時点で指が動かなくなりました。

暗くて見えないけど
中はこんな感じ

上の縦樋ときちんと接合できています。がたつき無し!

濾過槽から雨水タンクへ

雨水タンクは
200Lのローリタンクを使用

スイコー製でもどちらでも構いません。

正直500L程度が必要かと思ったのですが
雨・雪の降る期間を考慮すると
200Lでも十分間に合ってます。

雨水タンクの加工

蓋に穴をあけます。:21mm
※上蓋は別売りしています。

21mmのホールソーで穴をあけます。

開けたらPVCを取り付ける。

濾過槽と同じPVCです。

ジョイントを取り付ける。

ジョイントでタケノコ構造を再現

アダプターを取り付ける。

ワンタッチアダプタはそれ以外にも使用できるため使用

後はホースを取り付けて
濾過槽と接続すれば完成!

ホースは遮光性のあるものを
使用したほうがいいです。
※藻対策

今回は家に合った材料で作成しているので
遮光性には考慮していません。

2年ほど放置してあったホース 癖がついていて取り回しに苦労しました。

濾過槽との勾配をつける。

今回倉庫の屋根に取り付けた理由は
・地震が来ても落ちないように
・濾過した水が雨水タンクへよどみなく流れるように

そのため仮配置ですが
ホースをこんな感じで配置しています。
かなりの急勾配で水をためるようにしています。

雨・雪除けの屋根はついているがタンクにも遮光性を考えて塗装する予定

これで雨水タンクへ濾過槽を通した水が溜まります。

実際の使用感

現状飲み水として利用していません。

主に洗濯や調理後の後始末に利用しています。

そのためにはキチンとしたポンプが必要なのですが
現在はバケツで汲んでいます。

雨が降った際
屋根の汚れや雨樋の汚れが
濾過槽で濾過されるので
透き通ったきれいな水が確保できます。

しかも
今の時期は積雪3mを超えているため
水の確保には全く困りません。
※今年の積雪はまだ少ない

1日あれば200Lなんてあっという間です。

唯一困るのは
凍り付くこと。

配管に急こう配を付けた理由はこれです。

水が流れていれば
大して凍りませんが
濾過槽の綿が凍り付いてしまいます。

溜めるのが正解なのか
流すのが正解なのか

恐らくですが
循環させるのが一番だと考えています。

そのため
水中ポンプの増設を検討しています。
(3.5代目?)

凍るよりも濾過を何度も繰り返し
最終的に浄水器を使って
飲み水として利用できるか考えています。

でも冬の作業は無理
春になったら作業しようかと。

手持ちの浄水器はこれ


値段が安定しないのが癪に障りますが
実際の使用感は十分すぎるくらいです。

流石に川の水や沼の水を利用したいとは思いませんが
濾過した雨水なら浄水器を通した後
煮沸消毒すれば利用可能かと。

・製品説明引用
水に含まれる細菌、レンサ球菌、サルモネラ菌などの直径0.01um以上の固形異物を効果的にろ過し、ろ過した水の品質を大幅に向上させます。
活性炭繊維のフィルターを通るので、嫌な雑味や臭いも低減します。
ただし、海水の塩分、茶変した水など水中に溶解している物質は濾過できません。

何故こんな濾過槽にした?

単純な理由として
持ち運び可能なものにしたかったから。

水槽のようなオーバフロー型や
ごちゃごちゃ取り付けた濾過槽より
「持ち運びが出来て組み立てが簡単」

のほうが災害時かなり役に立ちます。

雨樋からじゃなく
サイフォンの原理を利用すれば
バケツからの使用も可能です。

可搬性が可能な物なら
色々利用できるだろうと判断し
こんな形になりました。

ペットボトルのろ過器もありますが
実際使用すると使いにくいんです。

手で持ってないといけないし
冷たいし
災害時に立てかけるものなんてないし
上から水を入れるとこぼれるし

意外と他の場所に持って行って
利用するに支障がありませんでした。

※近所で被災した家に持って行って使用しています。

濾過槽のメンテナンス

半年使用しましたが
ろ過材は
一番上の綿が茶色くなる程度です。

洗えば白くなります。

砂も網に入っているので
簡単に洗う事が出来ます。

活性炭は乾燥させれば
再利用可能です。
※オガ炭でも十分使えます。

重さも綿が濡れてなければ
1kgもありません。

濡れていても3kg程度です。

改良が必要なら
拡張性&改造が可能なので
容量が許す限りできます。

現状 全体システムとして
水中ポンプで循環させるを検討中

最後に

地震発生から2週間が過ぎ
周りは何事もなかったかのような生活になっています。

被災地じゃない
金沢は通常営業しています。

「災害は被災しないとわからない」

でも被災してから用意をするのではなく
事前に準備をし
いつでも使えるように用意することが大事です。

水が無いと衛生面での不備が目に付くようになります。

山の生活を始める際
最初に準備したのは「水の確保」でした。
ここは上水道も下水道もありません。

井戸を掘る・山の湧水を利用する。
なにをするにも水が無いと始まりません。

便利になると
水の準備をしなくても
周りが用意してくれるから
何もしない人が多すぎます。

いつも言っている
「便利は不便」

自分の身に起きてから実感しても遅すぎます。

正直3日あれば誰か助けてくれます。
でも3日を乗り切るのは厳しいです。

なので
自分でできる対策と準備と用意はしておいた方がいいです。

正直無駄な投資です。

ですが
そこで得た知識や経験は役に立ちます。

中途半端な濾過槽でも
・手洗い
・トイレ
・洗濯(電気が無ければ手洗い)
には十分使用できます。

ちなみに我が家の下水は
バイオトイレです。
一応水洗ですが(イメージとは全然違いますよ)
バイオ処理が終わった糞便はたい肥と混ぜて
肥料として利用しています。

バイオ材は間伐材から炭を作成する際出る
おがくずやチップを利用し
撹拌は山の水を水車に当てて動力にしています。

生活排水はため池に貯めて自然処理をしています。

何事も
やらないよりマシです。

「できることから始める」

今後起きる大災害から
少しでも役に立てるよう
知恵を絞ることが大事です。

まだ能登半島地震は終わっていません。

「誰かに頼る前に自分で乗り切る」

みんなで始めませんか?

今回はここまで
それじゃまた!

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